そもそも『親の介護』は義務なんでしょうか?
今回は、そんな疑問を持って調べてみたことをご紹介します。
『親』の介護から逃げたい
更年期世代に入り、自分の老後を考え始めたとき、
まさに自分の親たちは70代・80代と高齢者なんですね。
親たちが元気なうちはよいですが、
病気やケガが発端となり、
突然にして、あれよあれよと『親の介護』につき合わされていく、とよく耳にします。
実際には、親の病気など、もっと若いころから親の介護と向き合っている方もいると思います。
正直なところ『逃げたい』と思う方もいるのではないでしょうか?
親の介護を放棄してもいい?
『親の介護をする』といっても、各家庭にはそれぞれの事情があります。
たとえば、『子供が親の面倒をみるのは当たり前』と言われて、なんの疑問も持たずに「当然」のこととして対応できる方もいるでしょう。
その逆で、どうして自分がみなければいけないのか疑問に思う方もいるでしょう。
私は、まったくもって後者です。
むしろ、毒親からひたすら逃げたい一心で情報収集しています。
そこで、子供が親の介護をする義務があるのかどうか、
実際に調べてみると、次のようなことがわかりました。
・民法877条の第1項で「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定されており、法律上は親の介護を放棄することはできません。
・親と絶縁状態であるなどの個別の事情は調停の際の考慮材料にはなりますが、介護放棄の理由にはなりません。
法的に…逃げられません。
民法上の扶養義務があるとのことでした。
しかも、介護を勝手に放棄することも罪に問われるとのことです。
・介護の放棄は保護責任者遺棄罪に該当する場合があり、3ヵ月以上5年以下の懲役に科せられる可能性があります。
・介護放棄したことにより親が死亡したり怪我を負ってしまったりした場合には、保護責任者遺棄致死罪、保護責任者遺棄致傷罪が適用されることもあります。
この場合、それぞれ3年以上20年以下、3ヵ月以上15年以下の懲役に科せられる可能性があります。
結果、親の介護は子供の義務。しかも放棄は罪とのことでした。
しかしながら、感情が容認できない場合、
それでも何か回避する手段はないのか考え調べてみました。
親の介護を極力避けるために
前述で調べた結果、法的に親の介護を放棄できないとわかりましたが、次のような情報も見つけました。
自分の親・兄弟姉妹に対する扶養義務は生活扶助義務です。
生活扶助義務とは生活費等の経済的援助、または日常生活の介助等の面倒見的な扶養の事。1.介護費用は親の財産でまかなうことが原則
2.扶養義務者の余力の範囲内※で支払えばいい※余力の範囲とは最終的には裁判所などが決定するようです。
要はできる範囲の金額で。
ちょっとだけ気が楽になりました。
あとは介護のプロにおまかせするだけですね。
介護保険や介護サービスを知っておきましょう
『転んで骨折して歩けなくなった』、『急病で救急搬送された』など、
親の介護などは大体が突然始まるものです。
事前に介護についての概要を知っていたほうが、いざというとき慌てずに済みますね。
介護保険って?
高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み(介護保険)として、1997年介護保険法成立、2000年介護保険法施行されました。
介護保険は、40歳から国民全員に加入義務が発生し、支払いが開始される保険です。介護保険料率は各自治体や各健康組合によって違いがあります。65歳以上の被保険者は、原則として年金から天引きされます。
介護サービスを利用できるのは?
介護保険の加入者には第1号被保険者(65歳以上の方)と第2号被保険者(40歳から64歳までの方)の分類があります。
サービスの対象者 (受給者) は、原則として第1号被保険者だけです。
第2号被保険者は16の特定疾病により介護認定を受けた場合に限りサービスの対象となります。
介護サービスあれこれ
要介護認定をうけると次のようなサービスを受けることができます。
1.居宅介護支援(ケアプランの作成、家族の相談対応など)
2.自宅に住む人のためのサービス(居宅サービス)
①訪問型サービス
②通所型サービス
③短期滞在型サービス3.施設に入居するサービス(施設サービス)
4.福祉用具に関するサービス
5.住宅改修
(ここでは大枠のみご紹介させていただきます。)
介護保険についての詳細は、介護サービス情報公表システム(厚生労働省)のサイトで
各地域ごとの介護事業所など調べられるようになっていますので参考にしてください。
毒親の介護はできる限りプロにおまかせしましょう
私が介護・医療関係の仕事に従事していた頃、
様々な家族のかかわりを垣間見てきました。
かいがいしく親身になって世話をする家族もいれば、
自分が子供のころにひどい目にあわされて
「なぜ自分が親の面倒をみなければならないのか」と職員に八つ当たりする家族もいました。
介護をめぐっては、夫婦間や兄弟姉妹間,親戚間などでトラブルになってしまったり、
精神面や金銭面などで追い詰められた果ての事件やニュースなども目にします。
たとえば、自分の家庭や仕事が忙しく対応できないなどの事情もあれば、
親の収入や経済状況によって対応できないなど、様々な事情が出てきます。
さらに、好き・嫌いの感情や相性などの事情に大きく左右され、
お金や時間の余裕があったとしても、”してあげよう”という気持ちがなかったら
何かしらのトラブルの原因につながると思います。
確執のある親子関係での介護は悲惨なものになりかねません。
尊敬していた親でも、こと認知症になってしまったりすれば、
現実の姿に対応できない家族も出てきますし、
また、直視して対応できない自分を責めてしまう場合も出てきます。
親の介護をスムーズに受け入れられないと感じたり、負担を感じたら、
できる限り介護サービスを利用して介護のプロにお任せしましょう。
まとめ
結論、『親の介護は子供の義務』 という法律があるため、親の介護からは逃げられません。
それでも、親の介護をすべて一人で負う必要はありません。
小さなことでも困ったら迷わず地区の市役所などへ相談しましょう。
そして、ひどい目にあわされてきた親だったらなおさら、その旨をすべて話して、極力最小限のかかわりで介護にたずさわれるようにしましょう。
私の場合は、父親違いの弟妹がいますので、その人たちにお任せする予定です。
ですが、それなりに確執もあり、スムーズなやり取りができない上、都合よく利用されかねません。
こうした各家庭の小さな事情が大きな負担へとつながるので、事前の情報収集と、心づもりがとても大事だなと思っています。
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